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こねた

こんばんは
小鈴@Rosaceaeです。

てへ

ちょっと仕事があっぷあっぷでした。
定休日が火曜日で、それ以外でもう一日お休みがあるのですけれど
金曜日:ミーティング三昧
土日:忙しい
月曜:余波で忙しい
って言う感じなので、なんか一週間がばたばたして
お休みでもなんか今一つ寛げない。

などといいながら
SS書いて遊んでおりました。

あは。

萌 え は 熱 い う ち に 書 け  ですよ。

あーでも
リク企画の宿題はちゃんとやります。


そんなわけで、ついったには載せましたが
原稿保存も兼ねてここに再掲です。

お題:『「キス、してもいい?」と訊く』『紫兄弟』
若干読む方を選ぶ内容のような気もしますので
何を読んでもおっけーだぜ!という方以外は読まないでくださいませ。



「主上、いつまでそこに隠れていらっしゃるおつもりですか?」
深夜の宮城で、静蘭はそっと声をかける。

庭院の茂みを揺らしながら現れた劉輝の顔はどこか自信なさげな表情で、自らがこの宮城内の住人であった日々を思い起こさせる。
自らに差し出された掌の小ささも、温かさも、全てを守ってやれると思っていた。自分にはそれだけの能力が
あるのだと信じて疑いもしなかった。

今なら分かる。
あの時本当に救われていたのは、自分のほうだったのだと。

自らに足りなかったもの。
必要だとさえ、思いもしなかったもの。

実の母に打たれ、食事も満足に与えられないで、それでもけして母の許を離れようとしなかった小さな弟。
公子だった自分がただひたすらに焦がれた父とは形は違うけれども、劉輝もまた王たるに必要なものを生まれながらにして持っている。

人を信じるということ。そして、待つということ。
彼が与えた花は、厳しい冬を越え確かに育っている。

解っていたのではない。劉輝はただ信じたのだ。
自らの目で選んだ臣が、主として自分を選んでくれる日が来ると。

それなのに。
彼が唯一信じる事の出来ぬもの。
それが自分だとは皮肉な話である。

彼は信じられぬのだ。

確かに、お嬢様は静蘭にとって大切なひとである。
出来る事ならば、ずっと、この手の中に留めておきたいと思ったことも事実だ。
けれども、他ならぬお嬢様自身が選んだ道を止める事も邪魔する事も考えた事も無い。
まして、彼女が嫁ぐ相手は、誰よりも幸せになってほしいと思っているただ一人の弟なのだ。

寂しさが無いと言えば嘘になる。
けれども、祝福する気持ちのほうが何倍も強い。

それなのに、劉輝は幼いころのように、そっと、自分の顔色を窺うようにして怯えている。

そんな姿を見て、少しだけ、意地悪をしてやろうと思った。
「主上、一つだけお願いがあります」
その言葉に、弾かれる様にしてこちらを見上げる様に、ほんの少しだけ心が痛んだけれど、これは罰だ。自分を信じてくれなかった罰。
「あ、あにうえの頼みでしたら、何でもききます! だから……」
言いにくそうに飲み込まれた言葉。
「ええ、聞いていたけたら、私も主上とお嬢様の結婚を応援致します」
静蘭の言葉に、劉輝の表情がぱあぁっと花が開いたようになる。
「ほ、本当ですか?」
「……私が、主上に嘘を申し上げるとでも?」
ぶんぶんと劉輝が首を振るから、よく手入れされた長い髪がふわりふわりと宙を舞う。
「それで、あにうえのお願いというのは?」
「お嬢様が主上にお嫁入りされる前に、一度だけでいいのです。お嬢様に接吻をさせていただきたいのです」
「せ、接吻? あにうえ、それは……」
こんな「お願い」は想像もしなかったのだろう。劉輝の表情は固まったままだ。そこに畳みかけるように言葉を続ける。
「主上は先程、何でもきいてくださると仰いましたよね?」
「それは、言いましたが……」
そんなイジワルを言われると思っていなかったのだ、などとごにょごにょ言っている姿は可愛らしくて、すぐにでも嘘だよと言ってしまいたくなる。
「主上? まさか、私に嘘を仰ったのですか?」
「嘘では、ないのですが……」
劉輝はどうしたらいいのか解らずに、握りしめた拳をふるふると震えさせている。
「では、よろしいのですね?」
笑顔のままでそう詰め寄った時だった。
突然呼吸を奪われて静蘭は絶句する。
「りゅ、りゅうき! なにを……!!」
そういえば、そっちもイケルとかそんな話もきいた事があるが、お兄ちゃんはそんな子に育てた覚えはありません。だがしかし、どこの馬の骨ともわからぬ男に劉輝の唇を奪われるくらいなら、いっそ自分で奪った方が……。
先程までと立場がまるで逆である。今度は静蘭が錯乱状態に陥った。
けれど劉輝はいたって真剣に、静蘭の手をぎゅっと握る。

「あにうえ、これで我慢してください」
「……は? 劉輝、何を……」
我慢と言われても、一体何のことなのか静蘭にはさっぱりわからない。
「ですから、これで、あにうえは秀麗とも間接的に接吻をしたことになります。これで……我慢してください」
いくらあにうえでも、秀麗の唇は渡せませんが、これであにうえとの約束を約束も守れましたと劉輝は満足げだ。

「……つまり、主上は、まだ嫁入り前のお嬢様に不埒な真似をなさったと、そういう事ですね」
しまったと気付いた劉輝はそろそろと後ずさったけれど、後の祭りである。
その夜劉輝は、「あにうえとのかくれんぼ」という十余年越しの夢を意図せぬ形で叶えたのだった。


【了】

あははは
なんかすみません。

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