バライロノヒビ

【Indigo spider】


真っ暗な部屋の中、四桁の数字が浮かび上がる。

２４：００

――溜息なんか、つかない。
龍蓮はじっと、携帯を握りしめた。
全部分かっているはずなのに、この心が乱れる。
メールの返事はまだない。

定時は１７時だけど、きっと会社を出たのは一時間ほど前。
そこから１０分歩いて、そのあと地下鉄に乗る。ホームは地下三階で発車間隔は６分。
７分と３０秒で駅に到着する。

８番出口の右手にあるコンビニエンスストアで買うのはビールだけ。
突然に訪ねて行っても、文句を言いながら手早く二人分の食事を作ってくれるくらいだ。

タワーマンションの１５階の自宅に戻ったら、海の見える寝室兼書斎に鞄を置いて、着替えを済ませる。
洗濯物はバスルームに出すから、一旦ダイニングキッチンを通り抜けて、戻ってくるのだ。
冷蔵庫の中から適当に、炒めたり茹でたりして、ビールの缶を開ける頃には、いつものニュース番組が始まって、海外の市場をチェックする。

食器を片づけて、バスルームへ。
洗面台のボディミルクを、毎回正面に向けないと落ち着かない。

濡れた髪を拭きながら、一旦リビングのソファに座って、それから漸くベッドサイドに置きっぱなしの携帯を取りに行くのだ。

わかっていて敢えて、一番待たなければいけない時間にメールを送った。
わかっていて、それでも、携帯を離せないでいる。

何故と言われれば、簡単な事。
試してみたくなっただけ。
分が悪いのは承知の上。

だから、溜息なんかつかない。
「――だけど」
待たされた分は、きちんと楽しませてもらわねば。
「二十年分だ、宜しく頼むぞ、愚兄」

暗闇の中で笑った龍蓮に、メールの返事はまだ、ない。

【了】



この１７時間後がRIVER
返事しなかったのに、返事してないから焦る愚兄

最初楸瑛さん視点でRIVERの前日を書こうと思っていて
そのために
楸瑛さんのバスルームやら
楸瑛さんのベッドルームやら
気持ち悪いほど考えたのですが
龍蓮視点になったからあまり設定した意味なっしんぐです。

楸瑛さんのシャワージェルは何がいいか真剣に考えた。
一番男性が入りにくいらしいロ/ク/シ/タ/ンだろうなと。
ボ/デ/ィ/シ/ョ/ッ/プはきっと入りやすいもの。
とか考えてる自分が嫌です。

あと双花の楸瑛さんと龍楸の楸瑛さんでも多少ちがってくる、のは、私だけ？

あとどうでもいいけど龍蓮と携帯っていうすごい違和感を克服できないまだ。

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